5/30から6/6まで表参道駅をジャックをしていた日本酒のブランド広告を制作しましたので、今日はそれについてシェアしていきたいと思ます。
SAKE HUNDREDは今や幻の日本酒とも言われるほどの人気で、先日の抽選販売は500本に対して2万件を超える応募があったほど。彼らは従来の日本酒の生産者のように地方に酒蔵を構えるのではなく、商品ごとに自分たちが信じた酒蔵とコラボレーションして、新しい価値を生み出すという、日本酒業界では異質のスタイルを確立しています。
日本酒は従来から品質は高く評価されつつも、それに見合った価格設定にないことに疑問を感じ、日本酒の可能性を日本国内はもちろんのこと、海外にも広く伝えていくということをミッションにしているそうです。そして、ワインやウィスキーにあるように、ラグジュアリーマーケットで勝負しようとしていて、中心商品の百光は27,500円、限外はプレミアム商品でもあるのですが、198,000円という価格がつけられています。それでも全てのお客さんに生産が追いつかないほどの人気を誇っています。
今回は、お酒の味や中身を説明するようなビジュアルではなく、ブランドを象徴するクリエイティブを一緒に作りたいとお声がけしてもらいました。
このビジュアルコンセプトは『Bloom』で、心が満たされ開いていく、その瞬間をまさに花が開いていく瞬間と重ね合わせて表現しました。すべて生花を使い、生き生きとしなやかに凛とした印象を作っています。
この日本酒を飲む時は、きっと日々の緊張が溶けてゆき、リラックスするでしょう。そして大切な人との充実した時間・空間として彩られていく。そんな豊かな感情のイメージを、花にたとえることでリッチな世界観を目指しました。
反響も大きく、今までの日本酒の広告とは全く違う、既存の日本酒の印象が覆された、などの声をいただきました。
今回は日本酒が好きな人にも、日本酒に興味がなかった人にも振り向いてもらえるような、従来の日本酒広告のアプローチとは明らかに違うものを目指すという挑戦でした。そのチャレンジ精神は日本酒業界を変えていきたいとチャレンジするSAKE HUNDREDのブランド思想そのもののように感じました。ちなみに百光を飲みましたが、雑味がなく余韻まで楽しめてとても美味しいです。
制作はNYからリモートで打合せをし、僕が信頼しているフラワーアーティストの永田 絵梨子さん、フォトグラファーの松尾 浩補さんとブルックリンのスタジオで撮影を行いました。
NYのスタジオにこもって花のミクロな世界に入り込んで試行錯誤してつくったものが、表参道で大きく花開いて不思議で嬉しい気持ちになりました。
Credit
Creative Director, 高木 新平(NEWPEACE inc)
Art Director/Designer, 花原 正基
Photographer, 松尾 浩補
Flower Artist, 永田 絵梨子
Producer, 成田 龍矢(LON)
Archive Photo, 飯野 太平