DAYS アメリカと日本の違い[価値観編]

2021.7.27


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ニューヨークに来て2年半が過ぎましたが、未だに日本との価値観の違いに悩んだり驚いたりすることがたくさんあります。その中でも、僕自身が特に強く違いを感じているのは「伝える」「主張する」ことについてです。この記事では、この違いについて僕なりの考えを伝えたいと思います。
※あくまで僕の経験に基づく、個人的な見解・意見です。

意見は顔ではなく、口に出す必要がある。

アメリカでは会議などで発言をしないと存在感が希薄な人になり、その結果、仕事ができない人というイメージになってしまうというのはよく聞く話ですが、日本では多くの場合、同じような価値観の人たちで社会が構成され、仮に自分が発言しなくとも自分以外の誰かが自分の思いや心持ちを察してくれて、何か意見あるんじゃないですか?と振ってくれたりすることもあると思います。しかし、アメリカではそいういうことはまずありません。

それは他人に冷たいのではなく、自分自身がしっかり意思表示をし、正しく冷静に主張するという文化だからなのです。何も発言しない場合は、自動的に反対意見なし、そのまま賛成という流れになります。ともすれば、意見を言わない=反対意見がない、つまり異論がないハッピーな状態にある、と捉えられ、更に相手が意見をゴリ押ししてくることもあります。納得できてないという顔の表情だけでは相手は全く察してくれないことを心の底から学びました。意見は顔ではなく、口に出す必要があります。リモートワーク中心になって、ますます表情が見えにくいコミュニケーションにおいてはその重要性が増しています。


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何も言わないと、いくらでも損をする。

日常生活においても、何か違うなとか、これは違和感があると感じたら、何でもいいからまずは質問してみるというのが生活する上ですごく必要な能力になってきます。

少し前にタイ料理屋でドリンク付きのランチセットをオーダーし、飲み物はスプライトにしました。ウェイターさんが店内で水をサーブしている時に、僕のスプライトに間違って水をドバドバと足したので、「これ、さっきあなたが持ってきたスプライドだよ」と伝えると「ソーリー!」と言って去っていきました。新しいスプライトをいつ持ってきてくれるのかなと、無言のオーラを発しつつしばらく待っていたのですが、自分たちの横を何度通り過ぎてもそのウェイターさんは替えのスプライトを持って来ませんでした。しびれを切らして「新しいスプライトと交換してもらえませんか?」というと、「そうだよね!」と言ってすぐに新しいものを持って来てくれました。高級店であれば別かもしれませんが、これがアメリカで生活する上で主張が必要なよい例だと思います。

アメリカに来た当初、色々な方から「少しでもおかしいと思ったら意見を伝えるべき」「クレームは冷静にしっかりと何をして欲しいのか明確にする」などのアドバイスをいただいてはいましたが、今ひとつピンときていませんでした。実際にその状況になってみると、主張をしなければ損をするということが理解できました。

この場合は、スプライトに水を足された瞬間に「新しいのと交換してください」と主張すればよかっただけなのです。スプライトに水を足される→新しいのと交換してくれるだろうという期待をしてただ待っている、これはアメリカでは通用しないことを学びました。そして無言のオーラ、これが一番通じません。笑 いくらオーラを発しても、無言はこの状況にアグリーという意思表示になってしまいます。

同じようなエピソードは、他にもいくつもあります。例えば、ニューヨークでの住まいを決める時、同じビルディングの部屋をいくつか見せてもらい、その中のひとつが気に入ったのですが、その部屋だけキッチンが古いタイプでした。そういうものなのかなと、その時は遠慮して何も聞きませんでしたが、やっぱり気になって後から「このキッチン新しくしてもらえませんか?」と聞いたところ、不動産エージェントの人はちょっと上の人と相談してみるわ。と言って、結果、キッチンはもちろん、冷蔵庫からストーブ(日本のガスコンロ台)、オーブン、フローリング、棚などすべてがリノベーションされました。まさに何でも聞いてみるべき、主張してみるべきなんだなと思った瞬間でした。何も言わなければ、この人はこの状態で満足していると、捉えられてしまいます。

また、クレーム文化というのか分かりませんが、購入した商品に欠陥があったら(しょっちゅうある)すぐにクレームを出して、交換してもらいます。これも日本よりもすごく一般的です。この2年半で何度商品を変えてもらったか分かりません。先日、エスプレッソマシーンをアマゾンで買ったのですが、初期不良で動かずその返送をしたのですが、その返送した荷物を配送業者が紛失してしまい、販売メーカーにモノが戻ってきてないので返金できないと言われました。

厳密に言えば彼らはアマゾンの販売代理店で、アマゾンと販売者と配送業者と私の間で責任を誰がとるのかという議論が始まりました。結果は販売者側が配送業者にクレームを出すという形で落ち着いたのでよかったのですが、これも声をあげなければ自分が損をしていたところでした。これぞアメリカの洗礼。というのを今もまさに受けていますが、話が長くなるのでこの辺で……。アメリカ人が幼い頃からネゴシエーション力やディベート力を鍛える理由がよくわかります。


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ダメなときはダメ。でも声に出すことが必要。

では、何でもかんでも主張しまくれば要望が通るかのかというと、そうでもなくて、ダメなときは、絶対にダメ!それはできない。と強く言い返されます。ニューヨークに来た当初は、ダメと言われて凹むことも多々ありましたが、伝えることを伝えきってもダメな場合は、まあダメだよね。とすぐに開き直ることのほうがアメリカでは大事だなと感じています。主張をして、検討する、ダメだったらダメなんだ。それが彼らのコミュニケーションです。

ニューヨークに来るまでは、英語という語学を理解すればローカルの人達と楽しく会話ができると思っていましたが、実際にはその語学的な知識と同じくらい、価値観や文化を知ることが大事だと実感しています。

また、日本から離れてみてようやく、日本人の価値観や感覚は極めて独特なものなんだということを認識しました。そのギャップに悩まされることはありますが、一長一短、どちらが正解もなく、それぞれに面白いところがあるのでその両方を知ることができるのは自分自身のアップデートにも繋がるので、これからも色々なことに着目していきたいです。

Information

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