ニューヨークは今 、夏真っ盛りで湿度が低くて過ごしやすい日もあれば、東京のように蒸し暑い日もあります。ニューヨーカーたちは涼しかろうが蒸し暑かろうが、この「夏」という貴重な季節を存分に楽しもうとしていて、街はパンデミック以前の賑やかさを取り戻しつつあります。
さて、今日はそんな夏に楽しみたいアイスクリームについて、ブランディングの視点からご紹介します。
日本でもアイスクリームは人気ですが、ハーゲンダッツやサーティワン、コールド・ストーン・クリーマリーのような大きなメーカーのチェーン店がメインですよね。コンビニやスーパーマーケットなどで販売されているアイスも大手の氷菓や製菓メーカーのものが多いと思います。一方、ニューヨークではアイスクリーム専門店がよく見られ、時に長い行列を作っていることも。スーパーなどの小売店でも数多くの専門店のアイスクリームが販売されています。
また、僕は、アイスクリームは化粧品に似ているところがあると思っています。例えば、アイスクリーム自体に色を着けたりトッピングをしたりすることはできますが、洋服や電化製品のように商品自体をデザインすることができず、他社と差別化するのが難しいところなどです。そこでロゴやパッケージ、お店の空間、サービスなど、アイスクリームを取り巻く環境や顧客体験と中身をワンセットにして、ブランドを表現していく必要があります。まさにビジネスにブランディングが非常に重要な役割を果たしていえるカテゴリだと言えますね。
Van Leeuwen
マンハッタンだけで13店舗もある超人気のお店。ニューヨーカーならば、一度はこのロゴをどこかで見たことがあるはず。ホールフーズなどのリテーラーにも数多く卸していて、近所の小さなスーパーでも販売しています。デザインは世界的デザイン会社のペンタグラムによるものです。
Morgenstern’s Finest Ice Cream
グリニッジビレッジに一軒だけあるアイスクリームショップ。オーナーでありファウンダーであるNicholas Morgensternが妥協せずにこだわってレシピ開発したフレーバーが88種類もあって、選ぶのに悩んでしまいます。
アイスクリームカップやペーパーナプキン、メニュー、ウェブサイト、インテリアのタイルのパターンまでも、徹底的にお客さんとのコンタクトポイントすべてがモノトーンで構成されていて、モダンなブランドの世界観を体現しています。
ODD FELLOWS
ブルックリンから始まった小さなアイスクリームショップ。とは言え、先週訪れたDumboのお店はお昼過ぎにはすごい列ができるほどの人気ぶりでした。アイスクリームのレシピや素材に一風変わったものを取り入れているのがこのお店の特徴のようです。味噌ピーナッツバター味とか、ニンジンケーキクリームチーズ味など、聞いたこともないようなフレーバーがたくさんあります。週末の午後には売り切れ続出の大人気店です。
ミシュランの星付きの焼き菓子店で働いていたシェフSam Masonがほぼ全てのフレイバーを作っているそうで、2013年にブルックリンに最初のショップをオープンして以来、500以上の奇抜で奇妙なフレーバーと、再考され改良されたクラシックを作り上げてきたとのこと。ODD FELLOWS(風変わりなやつら)というお店の名前もそこから由来しているようです。
日本にいる時は、映画やドラマなどでアメリカ人の主人公がソファの上でテレビを見ながらアイスクリームを大きなパッケージごと抱えて食べているシーンをよく見ましたが、実際に住んでみると本当にこの国の人達はアイスクリームが大好きなのがよく分かります。
洗練されたパッケージデザインや空間構成はもちろん、味にもこだわりがあるお店が多く、気になったお店にふらりと入ってみるのも楽しいかも。ニューヨークにお越しの際はぜひ試してみてください。お気に入りのアイスクリームショップが見つかるかもしれません。