今日はダウンタウンにあるホテル「The Roxy Hotel」ついて、ブランディングの視点から僕なりに感じたことをまとめていきたいと思います。実は先週アパートに水道トラブルがあって急遽数日ホテル暮らしを余儀なくされた為、自宅の近所で気になっていたここに宿泊してみることにしました。
「The Roxy Hotel」は2015年に改装され、インテリアのベースは1920年代のシアターと90年代のダンスクラブをミックスしたクラシカルなデザインで、一方で客室は非常にモダン。古き良き時代と洗練された現代のニューヨークのどちらをも味わうことができる贅沢なホテルでした。
はじめてホテルの近くを通った時は、そのクラシックなネオン管サインなどから劇場かライブハウスだと思っていました。何度か前を通るうち、大きなスーツケースを持った人たちが行き交うのを見てようやくホテルだということに気がつきました。
実際、このホテルには、地下に映画館、1階にライブステージがあるので、ファーストインプレッションもあながち間違いではなかったのですが、これまで泊まったことのあるホテルとはひと味違っていて、コンシューマーエクスペリエンスとインテリアデザインが見事にマッチしていると感じました。
アメリカ人は本当に空間作りと体験デザインが上手いと思います。The Roxy Hotelも例外ではなく、照明やインテリアから調度品(例えば部屋においてあるスピーカーやコースター)、その他レンタル用の自転車、メニューやエレベーターのフォントのチョイスなどここまでやるのか!というくらいディテールまで、一貫してミュージック、劇場、シネマをテーマにデザインされています。
ここはただ寝泊まりをするためだけのホテルはなく、滞在している時は昔のニューヨークのエンターテイメントのシーンに出会ったような、タイムトリップしたような特別な気分に浸ることができます。まさにブランディングを効果的にセンス良く行うことで、より高付加価値な体験を生み出している好例と言えるしょう。
それと、もうひとつ面白いなと思ったのがThe Roxy Hotelは地元の人たちの憩いの場にもなっていることです。映画館やステージの他にも「Jack’s Stir Brew Coffee」というカフェが併設されていて、ここは滞在者はもちろん近所の人たちも多く、自宅でくつろいでいるかのようにリラックスした様子で新聞を広げている方も見かけます。かく言う僕も、朝の散歩の途中や友達とのコーヒータイムによく利用しています。
地元の人たちからも愛されているのも、宿泊利用者としては信頼感につながっているのではないかと思います。ホテルの歴史を調べてみると、1970年代後半頃、ホテルの近所にはアンダーグランドミュージックで有名な「Mudd Club」というクラブがあったり、キースヘリングがキュレーションするアートギャラリーがあったり、カウンターカルチャーやアートシーンの中心地だったそうです。その歴史と文化が時代を経て今も息づいているのだと感じました。
ダウンタウンで宿泊する機会があったらぜひおすすめしたホテルの一つです。