今日はマンハッタンのダウンタウンに2店舗を構える「LAUGHING MAN COFFEE」をご紹介していきたいと思います。このカフェはダウンタウンならではのロフトが立ち並ぶ一角にあって、僕がニューヨークに来てすぐの頃、この辺りを散歩していて見つけたのですが、佇まいがとても素敵でふらりと立ち寄ったことがきっけで好きになりました。地元のニューヨーカーたちにも大人気のカフェで連日賑わっています。

お店の中に入ってみると、ヒュー・ジャックマンの写真が。どういう関わりがあるんだろうと疑問に思い調べてみると、実は彼がCo-founderとして立ち上げたNPO団体「LAUGHING MAN Foundation」が運営するカフェでした。

彼がエチオピアに旅行した際、家族の為に過酷な労働環境で働く小規模なコーヒー農家の存在を知ったそうです。コーヒー豆の流通には、農家への対価が低い・労働環境が守られていないなど様々な問題があり、ヒュー・ジャックマンは彼等への支援と倫理的に正しく調達されたコーヒーの流通を目指しているとのこと。
また、同時に農家の方々の家をリノベーションしたり学校を作ったり、大学の学位取得をサポートなどの慈善活動の為、利益を100％寄付しているそうです。これはカフェのホームページでとても詳しく紹介されています。

ハリウッドなどの多くのセレブリティ達が色々な慈善活動を行っていますが、彼はただ金銭的にサポートする活動だけではなく、しっかりとしたビジネスとして彼等と適正価格にて取引をしていくことが大事だと言っていて、その考えに共感しました。

昨今、どの企業活動もエシカルでかつ透明性のあるビジネスが求められています。そういう背景をもあって、彼らも利益がしっかりとコーヒー農家に還元されている様子をレポートしているのではないかと思います。

トライベッカ店はロックダウンが終わった後にリニューアルオープンして、店内がだいぶ広くなりました。コーヒー豆の販売はもちろん、マグカップやTシャツ、キャップなど色々なグッズ展開をしており、農家の方々や子供達とヒュー・ジャックマンが写っている写真なども飾られています。

LAUGHING MAN COFFEEのロゴはとてもシンプルで、お店の雰囲気もモダンではありますが、そこまで凝った作りではありません。しかし、この活動の目的として掲げたALL BE HAPPY!のキャッチコピーはクレヨンで書いたような手書きの書体で温かみがあります。

見た目の格好良さや可愛らしさだけでなく、その背景にあるストーリー、目指している世界があるからこそ、デザインを通して理念や信念を伝えることができるのだなと思います。

Laughing Man Coffeeの公式サイトはカフェのサイトというより、まるでメディアのウェブサイトのようです。企業理念が冒頭にあり、活動報告が詳細で動画もあります。

また、このカフェを通した彼の活動は、彼自身のパーソナル・ブランディングとしても機能していると感じました。LAUGHING MAN COFFEEのインスタグラムのフォロワーは14万人いて、たった2店舗しかないカフェのフォロワーがここまで多いとは考えにくいので、彼の活動を知りたいファンや共感する人がそれだけいるということなのではないかと思います。

これまで出会ったカフェとは全く異なるアプローチなので、純粋なカフェのファンとしてはもちろんのこと、デザイナーとしてもこれからも注目していきたいと思います。