NYは木々が芽吹き、花もあちこちでさき始め、一気に春が来た感じです。これからやってくる新緑が眩しい時期が僕の中ではNYのベストシーズンと言ってもいいくらい好きな季節です。
NYは日本に比べて圧倒的に落葉樹の割合が高く、冬は葉が落ちて枯れ木ばかりなので、グレイッシュなイメージなのですが、葉が出始めるのこの時期は街が一気に彩り始める季節です。今日はそんな日常の中にある“色”をテーマにしたクリエーションを紹介したいと思います。
LIFE COLOR CLOCKというプロジェクトで2013年にローンチしただいぶ前の仕事なのですが、当時のコーポレートメッセージ『一瞬も一生も美しく』を体現し、資生堂のブランディングにつながるようなコンテンツとは何だろうかとアイデアを模索していって、辿り着いたクリエイティブです。
このコンテンツはスクリーンセーバーで、FacebookやInstagramと連携していて、自分の投稿した写真を解析していきます。そして、その写真の中に潜んでいる色を一秒間に一色抽出をして、自分だけのカラーを紡ぎ出していく時計です。動画を見ていただけるとより分かりやすいと思います。なお、この美しい動きのプログラミングは中村勇吾さんによるものです。
私たちは毎日スマホでたくさん写真を撮りますが、プロでもないので、すべてがきれいな写真というわけでもないと思います。でも、そんな毎日の何気ない写真の中にも、美しい色は潜んでいて、実はこんなにもカラフルな色に囲まれて過ごしていたんだ、という気づきになればいいという発想から生まれました。
赤っぽい写真は赤っぽい時計が描かれて、青っぽい写真は青系の色が多く潜んでいるので青っぽい時計になるのですが、その中に突然ピンクだったりオレンジというような想定外の色が潜んでいたりもします。また、青という色の中にも、何十色という青があったり、いろんな発見があるしかけになっています。
日常の中に隠れている色に注目してみると、毎日の生活がより彩りのあるものだと実感できるのではという思いから生まれたこのプロジェクト。数年前のものなので、現在このスクリーンセーバーはダウンロードできませんが、今自分で振り返ってみても古さを感じさせず明るい気持ちになるデザインができたと思います。