ニューヨークに住んで、日本とアメリカのいろんな違いに日々驚かされることがありますが、その中でも面白いなと感じたのが歯ブラシのサイズの違いでした。もちろん、日本のものと同じくらいのサイズの歯ブラシも中にはありますが、よくあるのは倍くらいの大きさで持ち手も太く、がっしりしたものです。
アメリカでは歯並びやホワイトニングに非常に気を使うと聞いていたので、果たしてこんなに大きな歯ブラシで隅々まで磨けるのか……気になるところです。しかし、さすがホワイトニング大国。アメリカではドラッグストア等で自宅でできるホワイトニングキットが販売されており、気軽に購入することができます。ホワイトニングに特化した歯磨き粉の種類も豊富です。
さて、この記事では、そんな激戦区のアメリカの歯磨き粉マーケットの中で、僕がデザイン的にも気に入っているトゥースペーストを3つご紹介したいと思います。競合との差別化するために、しっかりとブランディング戦略を取り入れているという視点で選んでいます。
Davids
その名の通り、2015年にEric David氏がハイクオリティ+健康や自然のサステナビリティをテーマに立ち上げたブランド。偶然ホールフーズで出会ったのですが、明るいパステル調のカラーパレットに白いロゴがナチュラルさと清潔感を感じさせて、主張しすぎないけれど洗練された印象を持たせています。
パッケージを開けてみてはじめて気が付いたのですが、最後まで使えるように下の写真のようなT字の工具が付属していました。これにも、ロゴがしっかりと印字されていて消費者の心をくすぐるなと思いました。実際に絞り出しやすく、最後までストレスなく無駄なく使い切れるのはブランド体験としてよく設計されていると思います。
Moon
全製品がヴィーガンのオーラルケアブランド。こちらもいくつか種類があります。僕が使ったのはチャコール(炭)でステインを落とすタイプの歯磨き粉。アメリカではセレブが愛用していたことから人気が出て、今ではメジャーな歯磨き粉になったようです。チャコール入りということで、ペーストは真っ黒。通常は清潔感を印象づけるために白がベースカラーであるのは当然の中で、真逆の発想は驚きましたが、想像以上にさっぱりと磨けて心地よく使えました。
パッケージはペーストの色と同じ色の真っ黒がベースです。そこに満月を想起させる正円を使ってMOONのロゴをデザインしています。ヴィーガンの製品ですが、ナチュラルな雰囲気というよりは、クールでモダン、シンプルな歯ブラシと一緒に並べると引き締まった印象になると思います。雑多な店頭でも黒はこの商品一つで、目立って存在感がありました。
LINHART
ニューヨークの歯科医Linhart親子が2017年に立ち上げたブランド。10年に渡り患者と向き合う中でその知見を生かして生まれたトゥースペーストラインナップ。驚いたのは、そのデザイン性です。日本でもよく歯科医監修だったり歯科医開発の歯ブラシや歯磨き粉がありますが、ここまでデザインの視点からもこだわって作られているものは見たことがありませんでした。
歯磨き粉を選ぶポイントは、ホワイトニングや磨き上がりの効果、香りの好みなど人それぞれあると思いますが、洗面所に置いて気持ちが上がるものという要素も欠かせないブランド戦略の一つだと考えています。
化粧品と通じるところがあるのですが、自分が持っていて誇らしいと感じたり心地良いと感じられるか、友人などに「これ素敵だね」と褒めてもらえたり「このブランドいいよね」と賛同して貰えるかというのは、消費者の深層心理ですが結構必要な視点です。
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この商品、実は今注文しているところなので、届くのがとても楽しみです。