この記事では、2月24日に発売した「MdN デザイナーズファイル2021」の装丁デザインについて書いていきたいと思います。

まず、この仕事をさせていただくことになった経緯なのですが、コロナ禍の状況であったことが大きく影響しています。パンデミックが起きて1年が経過する中、仕事を取り巻く環境も大きく変わってきていますよね。

MdNの担当者さんから最初にお話をいただいた際に「これまで、海外在住の方と仕事をするという選択肢は思い浮かばなかったのですが、オンラインミーティングが当たり前になってきたので、海外在住のクリエイターにお願いしてみようと思った」と伺いました。

コロナ禍において、これまで通りの生活ができなくなり苦しい思いをすることも多かったのですが、このような機会と巡り合わせがあったのも、この状況がもたらしてくれたものだとポジティブに考えることができました。

今回、いざ実際に仕事をはじめてみると、打ち合わせの時間を調整する際に時差を考慮する必要がありましたが、進めていく中で特に困ることもなく、いつものようにパフォーマンスを発揮することができました。先方からも「違和感なく、仕事を終えることができて本当によかったです」と感謝の言葉をいただけたことが非常に嬉しかったです。

最近は日本やアメリカからだけではなく、様々な国々からお仕事のお問い合わせをいただくことが増えてきました。世界的にオンラインを通じての仕事に慣れてきて、ビジネス上の国境がなくなってきていることを感じています。コロナ禍でクリエイティブ業界もトランスフォーメーションが確実に起こっていますね。

ニューノーマルな時代・混沌の時代を、デザイナーたちは強く生き抜き、そして美しく咲く。

これが今回のブリーフィングを受けて考えたビジュアルコンセプトです。置かれている状況は人それぞれ違いますが、デザイナーは皆この厳しい状況さえもポジティブに捉えて前を向いていると思います。そんな今を強く生きるデザイナーにフォーカスした誌面にふさわしいものにするべく、前向きな印象が伝わるようにカラフルな彩りのビジュアルに仕上げました。

MdN Designers Fileというタイトルも同様に、しなやかに美しく、そして堂々と見えるようにデザインし、センターに大きくレイアウトしました。既存のフォントを参考にしながら、ゼロから全て書き起こしているオリジナルの書体になります。

細かなこだわりとしては、タイポグラフィとイラストレーションに一体感をもたせるために互いに細いラインを内包するデザインにしています。

帯は暗めのネイビーにすることで表紙のカラフルさをより引き立たせています。帯で下半分をあえて隠し、帯を外すと花が開いて咲き誇るようなイメージのビジュアルが現れます。

お手元にこの本がある方は、ぜひ帯を外した状態も楽しんでください。